水害車両ユーザーへ注意喚起

自分でエンジンをかけないで!
毎年各地で大雨にともなう河川の氾濫によって浸水や冠水の被害が相次いでいる。
国土交通省、JAF(日本自動車連盟)、JAMA(日本自動車工業会)はそれぞれホームページで、
被害を受けた車両の取り扱につきユーザーに注意喚起している。
水に浸かった車両は外観上問題がなさそうな状態でも、
感電事故や電気系統のショートなどによる
車両火災が発生するおそれがある。
① 自分でエンジンをかけない
② 使用したい場合には、
買い求めた販売店もしくは最寄りの整備工場に相談する。
とくにHV(ハイブリッド車)やEV(電気自動車)は高電圧のバッテリーを搭載しているので、
むやみに触らない
③ 使用するまでの間、発火するおそれがあるので、
バッテリーのマイナス側のターミナルを外しておく。
また、外したターミナルがバッテリーと接触しないようにテープで覆うなどの措置を行うこと
水深が深い事故の場合
「水没が始まってから30秒から
数分の行動が生死を別ける」といわれるほど
初動対応が大切と言われています。
しかし、あまりのパニックに
水没している最中の車内から
携帯電話で911番通報(日本の110番)して、
時間を消耗したために命を落とす人が多く、
「水没中に電話をかけると死ぬと思え」と警告されています。
日本国内での水没事故の現状
自動車ロードサービス事業専門のJAFによると、
日本国内でゲリラ豪雨などで完全に車体が水没する死亡事故はあまりなく、
夜間に見通しの悪い防波堤から
海に転落したり、池や川へ落ちてしまう事故が毎年数十件起こっているそうです。
東日本大震災では沿岸地で渋滞中の車列を津波が直撃、
車に閉じ込められたまま
濁流に流されて亡くなった方が大勢います。
沿岸部に住む方はあのような災害を想定して、
車の水没に備える必要があるのではないでしょうか。
参考・自動車保険サイト
車の窓は特殊なので簡単に割れない
水没が始まると徐々に車に水圧が加わり、
ドア半分の高さの60cm程度の水位でドアを開くには通常の約5倍の力が必要になります。(JAF調べ)
電気系統は短時間で誤作動→ショートする可能性が高いので、
電動式のパワーウインドウは動かなくなることを予想しなければいけません。
窓を破って脱出することになります。
自動車の窓ガラスは「安全ガラス」と呼ばれる製品で、
鈍器や金槌でも非常に割れにくい強化ガラスのように頑丈に加工されています。
このガラスの特性を知らないと、
水深が深い水没事故で命を落とすことになります。
この安全ガラスは、先端が尖っている物で叩くと割れやすい性質がありますが、
ヘッドレストの鉄の棒・スマートフォンの角・車のキー等で、力一杯叩いても割るのは大変難しいことがJAFで実証されています。
緊急脱出用ハンマーを車内に備えましょう
水没の非常時のために緊急脱出用ハンマー(画像)という製品が販売されています。
このハンマーの先端は鋲のように尖っていて、安全ガラスを簡単に割ることができます。
柄の先はシートベルトを素早く切断できるカッターになっています。
脱出用ハンマーは運転席から手探りでも掴める位置に設置しておきます。
車の安全ガラスは割れると画像のように蜘蛛の巣状にヒビが入り、派手に飛び散らないように加工されています。
また、割れたガラスの破片は粒状で人を傷つけにくいようになっています。
窓を割るときの注意点
車のフロントウィンドウ(前側の窓)はフィルムが入ったさらに特殊で、頑丈な造りになっているので、
割るのならサイドウィンドウか、
後側のリアウィンドウということを覚えておきましょう。
水没する車から脱出する手順
①シートベルト→②子供→③ウィンドウの順序を覚えましょう。
①シートベルトを外す
まず、シートベルトを外します。
バックルが詰まって壊れている場合は、
脱出用ハンマーのカッターでシートベルトを切ります。
②子供がいる場合、抱きかかえて脱出に備える
車内に子供がいる場合、素早く前部座席に移動させ抱きかかえます。
同じく脱出用ハンマーのカッターでベルトを切ります。
③サイドウインドウを開ける・破る
浸水するスピードによっては
着水直後は電気で動く場合ありますが、
開かない場合は脱出用ハンマーで割ります。
水位が窓より高いと、
窓を開けた(壊した)瞬間に水が勢いよく流入してくるので注意します。
④車から脱出する
子供がいる場合は、自分より先に子供を車内から出すようにします。
搭乗者を全て車外に出してから、自分が最後に脱出するようにします。
浸水が始まってドアが開きやすくなるチャンスは、次の3パターンになります。
ドアを開けて脱出する方法は、大変難易度が高いので
窓から脱出する方法が一番現実的ということになります。